佐藤和泉

 

私は今回初めてミュンヘン国際音楽セミナーに参加させていただきました。

今回レッスンして下さったマンツ先生には、昨年の夏にドイツで行われたマスタークラスで教わったことがありました。先生の丁寧で細やかなご指導と温かいお人柄に惹かれ、ぜひもう一度レッスンを受けたいと思っていたので、今回のセミナーではどんなことを学べるのだろうと出発前からとても楽しみにしていました。

会場となったエルディングは、小さいけれど美しく、穏やかな時間が流れている街でした。街の中心部を歩いていると、カラフルで可愛い建物が並んでいたり、南ドイツの民族衣装をまとった方々が楽しそうに歩いていたりして、私の気分もなんだか明るくなり、同時にエルディングは本当に素敵な街だなと感じました。

 

今回私はマンツ先生のレッスンを6回受講しました。

マンツ先生のレッスンは本当に素晴らしく、45分という限られた時間の中で多くのことを学ぶことができました。

 

ベートーヴェンのソナタでは、ほんの少しのアーティキュレーションやペダリングの違いで音楽が自分でも変わったのが分かり、驚くと同時にとても嬉しくなりました。またバッハでは私の以前からの課題だった「バッハがロマン派音楽に聞こえてしまう」という点を先生はすぐ見抜いてくださり、テンポを確立させ、あまり抑揚をつけすぎないことで改善することができました。

 

特に印象的だったのはショパンのソナタのレッスンです。私は以前からショパンに対して苦手意識があり、このソナタでも、歌い方や腕の使い方が分からず苦戦していました。しかし、マンツ先生のレッスンを受けて、手首を少し回すように使うだけで、力まない、柔らかい音が出せるようになり、またルバートをかけたらその後すぐにテンポを戻す、音をよく聴く、ということを徹底するだけで、旋律もとても歌えるようになり、本当に魔法のようなレッスンでした。

 

素晴らしいレッスンのあとの練習は、どんどん音楽がよくなっているのが自分でも分かり、いつも以上にとても楽しかったです。たまに練習室の窓に顔を向けると、きれいな木漏れ日が差し込んできたり、楽しそうにお散歩をしている犬が見えたりと、とても癒されリフレッシュすることもできました。たくさん練習時間をとって頂けて本当に感謝しております。

 

修了コンサートでは、ベートーヴェンの熱情のソナタを全楽章演奏しました。

たくさんのお客様に聴いていただけて、また、ドイツの地でベートーヴェンを弾くことができ、忘れられない幸せな思い出になりました。

終演後、お客様の1人が私のところへ駆け寄って来られ、あなたの演奏に涙した、と仰って下さり、心の底から音楽をやっていて良かったと思いました。

素晴らしい機会を作ってくださった小長様、セミナー期間中たくさんサポートしてくださった朝島様、支えてくださった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

 

この素晴らしい経験を糧により良い音楽を奏でられるよう頑張っていきたいと思います。